最強のお守りを手にした本
「人生とは、味方をつくっていく日々なのです」(本文より)
僕はこの一文が大好きです。なんだか、やさしい気持ちになれるからです。
これまでの日々を思い返してみますと、何事にも代えがたい達成感を得たり、涙がこぼれるほど感動したり……
つまり人生のハイライトになる体験をした時には、ある共通点がありました。
それは、それらすべての“時”において、かならずすぐそばに僕のことを支えてくれる人や、応援してくれる人がいた、ということ。かならずです。
娘が生まれたときもそう。僕1人では、あの天使のような笑顔に出会うことはありませんでした。母体から取り上げたのすら、僕ではありません。父親だというのに。
念願のベストセラーを出せたときもそう。極端に言ってしまえば僕はただその本を編集しただけです。書く人がいて、営業してくれる人がいて、書店さんがいて、そして読者がいなければ、本は日の目を浴びることはけっしてありません。
――心が動くとき、かならずすぐそばに味方がいる。
この事実に気づけると、おだやかな気持ちで日々を過ごせます。「生きている」というより「生かされている」という感覚になるからだと思います。そう、僕たちは誰しもが1人で生きているわけではないのです。
そういうわけで僕はこの本と出会い、自分の無力さを思いしらされました。1人の力なんてたいしたことないな、と。ですがそれと同時に、いやそれ以上に、そんな自分でもぜったいに助けてくれる人がいる、という最強のお守りを手にした気分です。