2020年7月に発売した『正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ』(西村宏堂 著)は、現在英語版として『The Monk Wears Heels(ハイヒールを履いたお坊さん)』の他、ドイツ、フランスで出版されたています。また、イタリア、スペイン、エストニアでも翻訳出版が予定されています。
担当書籍が欧米で翻訳出版されるのは私にとっても初めての経験。とっても嬉しいです。
この書籍が欧米で翻訳された理由の一つに、著者のユニークな肩書きがあります。著者の西村宏堂さんは浄土宗僧侶であり、海外で活躍するメイクアップアーティストであり、自身が同性愛者であると公言しているLGBTQ活動家。英語もスペイン語も話す多才な方です。
この記事では、著者のことを親しみを込めて「宏堂さん」と記させてください。
宏堂さんとの出会いは2019年の冬。
友人に誘われ、Netflixの大人気番組『Queer Eye』の配信記念パーティーに参加した夜のこと。たくさんの人で賑わう会場の中で、特段にオシャレで、一際目立っている人がいて私の目は釘付けに。
「あの人は、一体誰?」一目惚れでした。
番組を鑑賞後、出演者が登壇し、さっき一目惚れした人が「西村宏堂」さんだと知りました。
会場では話しかけることが出来なかったので、帰りの電車の中で宏堂さんをググり続け、その勢いで、その日の深夜に「会いたいです!」と熱烈ぞっこんラブDMを送ったのです。
ラッキーなことに想いが伝わり、翌週には念願の対面を果たし、書籍を一緒に作っていくことになりました。
とはいえ、周りにLGBTQの知人がいない私。
取材前、何か失礼なことを聞いてしまったらどうしよう、どこまで聞いていいのかなという気持ちがあり、ちょっとソワソワしていたのです。
それを宏堂さんは察してくれたのか、
「なんでも聞いてくださいね。全て、正直に話します。私の全てを緑さんに知ってもらいたいの」
という言葉をかけてくれました。や、優しい〜〜〜!!
その言葉通り、幼少時代から現在に至るまでの思い出をいっぱい出してもらった写真を見ながら話してもらったり、宏堂さんのお部屋やクローゼットまで見せてもらったり、宏堂さんのご両親から幼少時代の話やカミングアウトされた時の気持ちを直接聞く機会も頂いたりと、様々な角度で宏堂さんのこれまでの人生と気持ちを伺うことが出来ました。
さらには、「私を知ってもらうために是非、緑さんにメイクをしたい」というなんとも贅沢なお話を頂き、ライターさんと共にメイクをしてもらったのです。
「いつもの雰囲気と変えたいです!」という私のリクエストに応えてもらったのが、こちら!
こんなふうにいつもとは違う取材を通して、誰にだって、どんな場所でだって正々堂々といつでも宏堂さんでいる姿に触れて、この本は生まれました。
「本当の気持ちを誰にも伝えられなかった小学生、中学生の時に私のような人間と会いたかった」という宏堂さんは、本書を小学校に寄付する活動をしています。
優しい言葉で綴られたとても読みやすい本なので、小学生から、そして親子で読んでもらえたら嬉しいです。