ところで私はいわゆる「霊感」というやつがまったくありません(欲しいと思ったこともないですが)。
と言って、そういう「見えない世界」を否定はしません。いや、むしろあると思っています。
ただ、そもそも暗いところが苦手で怪談やホラー映画も大嫌いという極度の怖がりのため、あまり積極的には関わりたくないかなというのが正直なところ。
そんな私がふと手に取ってページをめくるうちに、気がついたらのめり込んで読んでしまっていたのが『知りたいけど、聞くのが怖かった「死後」に関する62のこと』というこの翻訳書です。
著者はアメリカでプロの霊能者として25年以上も国内外で活躍してきたホリスター・ランドという女性。
「霊能者」という字面からはちょっとおどろおどろしい雰囲気が漂いますが、しかしこの本に書かれている文章と内容からは、そんなものはあまり感じられません。
「“あの世”はあるのか」「来世とはどんなところか」「霊は私たちとどのように交信するのか」といった基本的(?)なことから「霊がいるというサインはどんなものか」「ゴーストと霊との違いは何か」「生まれ変わりはあるのか」など、死や霊や神、そして生きている私たちと死んでしまった存在との関わりや意味といったものを、静かな口調でわかりやすく教えてくれます。
怖いどころか、内容のすべてがむしろやさしさで包まれており、しみじみと心に染み入ってきさえします。
(これはたぶん翻訳者の中島早苗さんのうまさも大きいのではと思われます)
ちょっと白状すると、私は第7章の「動物との愛」のところでもう耐えきれずに泣いてしまいました。
本文中には、飼い主さんと亡くなったペットについての実例がいくつも出てきます。
縁あっておうちに迎えた動物が、生きている間中はもちろん、霊になってからもずっと、どれほど私たちを癒し愛情をくれるのかということが語られており、もう旅立ってしまった私のペットのことを思い出さずにはいられなかったのです(私同様、「小さな家族」を見送った経験のある方は、この章を読んだらたぶん胸がぐっと詰まるかと思います)。
「この世で生まれた絆は死を超えてずっと続く」
章の終わりにあったこの短い一文は、確かに、大好きで大切な存在だったあの子たちと私との短い時間をずっと肯定し続けてくれるものだと感じました。
この本を読み終えたあと、死や霊といったものに対してこれまで不必要に抱いていた恐れが、少し軽くなったような気がします。
(でもやっぱり、これからも怪談やホラー映画はパスするかと思いますが)
(ジョセフィーヌ)