2023年5月、おかげさまで担当書籍『1年で億り人になる』が
日販さんの月間ランキングのビジネス書部門で第1位になりました!
ランキングに並んでいる他社さんの本は
いずれも素晴らしい本ばかりなので、
一度でもタイトルを取れたことが奇跡のようです。
というのも、
今でこそ、このようなランキングに
登場する機会が増えたこの本ですが、
発刊前後は、現在の姿が全く想像できない状況だったからです。
「億り人ってナニ? 」という認知の壁
じつはこの本、サンマークとしては
初版部数はやや少なめの5000部からスタートしています。
営業さんはがんばってくれたのですが、
書店さんからの注文がなかなか取りづらい本だったのです。
理由のひとつは、この本のカバーにあります。
カバーには「億り人(おくりびと)」「FIRE(ファイヤー)」というフレーズが
大きく使われています。
けれど社内もふくめて、
当時そのフレーズの意味を知っている人は非常に少なかったのです。
「おくりびと? あの映画になったやつでしょ?」
「ファイヤーって、缶コーヒーのことかと思ってた」
これ、冗談ではなくて、実際に私がいただいたコメントです。
感覚値として、正確な意味を知っている人は2〜3割だったように思います。
私自身は「お金の本」を読むのが好きだったので、
億り人もFIREも、一般用語だと思っていました。
でも、馴染みがない人には、まったく意味不明の言葉だったとは……!
しかも、お金の本は「白い背景にタイトルどーん」という
信頼感のあるカバーデザインが多いところに
『1年で億り人になる』は真っ黒なカバーで、雰囲気もダーク……
そりゃあ、誰だって「変な本かしら」と感じますし、
書店さんや取次さんも注文しづらいわけです。
そんなこんなで、じつは発売前はかなりの苦境に立たされていました。
本の運命を変えた「1つの箱」
ですが、発売から1週間ほどが経つと、潮目が変わり始めます。
売れ行きのデータがそろってきます。
ありがたい事に、その数字がまずまず良かったのです。
私自身も、発売後2〜3日の売れ行きを見た時から、
「この本は芯を食ったな」という感覚がありました。
ですから、何かきっかけがあれば、一気に売れるかもしれないと思い、
その方法を思案し始めました。
そしてついに――
発売からおよそ1ヶ月後の12月23日。
この本の運命を変えたであろう
「ネットショッピング」をしたのです。
私が楽天市場でポチッたもの。
それが、
金塊に見たてた「箱ティッシュ」です。
1箱あたり約150円(+消費税)。
これなら、経費もそれほどかからないし、
軽いから郵送も簡単で、販促物としての迫力もある。
本のカバーで「億り人」の部分が
“金の箔押し”というキラキラ加工にしてあるため
本のイメージともピッタリ合う。
これを書店で展開してもらえれば
火がつくんじゃないか……!
そんな淡い期待で「金塊」を用意しました。
最初はギラギラが強すぎて、
いろんな人に苦笑いされていましたが(笑)
ある日、紀伊國屋書店の新宿本店さんで仕掛けていただいたところ、
売れ行きが急増!!!
これはいい販促になるぞ! と
全国の営業さんたちから「金塊ティッシュ」の依頼が
殺到することになりました。
最初は「10箱」のお試しから始まった仕掛けが
いつの間にか「日本全国」へと規模が大きくなっていったのです。
実際に、仕掛けた書店さんで明らかに売れ始め、
大量の「金塊」オファーが届くように。
「金塊のストックが切れそうです! 早めにご用意を!」
と関連部署から言われて、
たびたび追加注文していたので
一時期は「金塊くばりおじさん」と化していました。
さっき計算したところ、
全国に配った金塊ティッシュの総数は
460箱にのぼります。
そのようにして、
少しずつ書店での展開を大きくしながら、
地道に重版をしてきたのが
発売当初の『1年で億り人になる』でした。
この後、新聞広告や電車広告なども投入して、
大きなうねりを作っていくのですが、
それはまた別の機会にでも。
<余談>
ちなみに、金塊のティッシュは
「旅行の思い出」から引っ張りだしたアイデアでした。
かつて「佐渡の金山」を旅したとき、
お土産屋さんで金塊ティッシュがズラ――っと並んでいたのが壮観で、
その光景が脳裏にこびりついていたのです。
芸は身を助く、ではありませんが、
自分の「島旅好き」がこんなふうに活きてくるとは……。
旅行で使ったお金も「先行投資」と名前を変えて、
回収できた気がしています(笑)。