橋口英恵

橋口英恵

第一編集部 副編集長

コンテンツをつくる技術と著者との信頼関係という強みを、本を超えて多面展開。プロデューサーでディレクターでマネージャーで編集者。

血液型:AB型
出身地:宮崎県
好きな食べ物:酒
好きな家事:洗濯干し
動物に例えるなら:忠犬

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編集者の仕事

橋口英恵

私は編集部で、本づくりの仕事をしています。

書籍の企画を考え、著者候補にアプローチをし、内容を考え、原稿をブラッシュアップさせて、どんなパッケージで届けるかを考えて、実際に形にしていく仕事です。企画の種をあちこちから見つけてくること、そして、実際に原稿や装丁をつくりこむ編集作業とを、両輪で回していく仕事です。

サンマーク出版では、誰かの企画を別の編集者が担当するということはほぼありません。自分で企画し、始動しないかぎり、簡単にいえば仕事がない。編集部はみな年間をとおして、ひとりの刊行点数は6,7点ですが、本づくりは、急ピッチで進めたとしても半年くらいはかかる作業。目の前の原稿に追われ、気づいたら新しい企画がない! なんてことがないよう、いつも、それぞれ段階のちがう3,4冊を抱えています。

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どうして出版社に?

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私が就職活動をしたのは今から20年ほども前のことですが、私は「コンテンツをつくりたい」と、出版社とテレビの制作会社を中心に就職活動をしていました。

大学時代はアルバイトに明け暮れる日々。アルバイト先は飲食店などお酒の席がほとんどでした。有名な人でも偉い人でもないけれど、人のおもしろさとか、やさしさ、みたいなものを肌で感じた気がします。人の本音とか、人生の悲喜こもごもに、どんな人生もそれぞれドラマチックなのだなぁと思いました。

初対面でも物おじしない性格は、いろいろな大人たちの話を聴く中で、自然に培ったものかもしれません。サンマーク出版の採用面接でも、アルバイトの話しかしていませんが、それを面白がってもらえたのはとてもラッキーだったと思います。

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仕事のおもしろさ

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本は、社内のチームでつくる雑誌とはちがって、担当はひとり。複数の担当者がいることはほぼありません。「私が担当した本」「私が手掛けた本」、自然とそんな表現になりますし、「あの本の編集者」といった感じで、ヒットした本は、自分の名刺代わりにもなりえます。担当する本にまつわるすべてのことについて、この世で誰よりも考え、覚悟を持つ。それが編集者だと思います。

でも、本は編集者ひとりでつくられるものではありません。「読者にとってわかりやすいか」「読者にとってうれしいか」「読者にとって役に立つか」――それをかなえるために、それぞれのプロフェッショナルに動いてもらう仕事です。

だから、編集者は、基本的には「お願い業」。著者にはもちろん、デザイナーにも、関係するあらゆる人に、最高の仕事をしてもらわなくてはなりません。その過程では意見が対立することもあり、いつも真剣勝負。本づくりの座組みから考え、関係者に方針と熱意を共有させ、それぞれのプロフェッショナルの最高のパフォーマンスを引き出す。それを束ねるのが編集者だと思います。「やってもらう」ことが多い仕事ですから、引っ張っていくと同時に、誰かに花を持たせられる人が向いているかもしれません。

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新しい本づくりの形

コロナ禍では、オンラインだからできる新しい経験もすることができました。

たとえば、いまや、オンラインで世界中の著者の本をつくることができると、身をもって知ったこと。

ロサンゼルスで有名な日本生まれ日本育ちの美容家がいると知ったのは、コロナ禍の直前のことでした。来日予定がキャンセルになり、オンラインの取材で本づくりに。一度も直接会わずに本をつくるのは初めての経験でしたが、こんな本づくりもこれからは増えていくと思います。本質をより大切にして、いらない慣例や余計な手間が大部分減っていくとしたら、とてもいい流れだと思います。

なにより、時間や空間の制限があってできなかったことが、これからはできるようになる。海外のトップ俳優やビジネスパーソンの本だって、夢ではありません。広い発想で見渡すと、これからの可能性は無限にある気がします。

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つくるのは本であり
本じゃない

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編集者として、これまでこうした「紙の本」をつくってきましたが、最近はそれだけではありません。

本を中心にした新しい展開をしようと、編集部内ではたくさんの試みが続いています。

著者本人のいいところ、魅力的なところを、本というアウトプットに落とし込んできたのが編集者ですが、「それって、本じゃなくてもよくない?」というわけです。

著者の持っている魅力的なコンテンツを、本で見せつつ、
別のちがった形でも見せていく。著者が持つコンテンツのうち、どこをどう磨き際立たせたら、読者にとってより魅力的なものになるのか。私たちが日ごろから意識し培ってきたその編集技術が、コンテンツづくりにおいて強みとなるはずです。

たとえば、たとえば私の担当した本で、『借金2000万円を抱えた僕にドSの宇宙さんが教えてくれた超うまくいく口ぐせ』という本があります。これは、奇抜なキャラクターが人生を切り開くヒントを与えるというテーマの本ですが、この著者さんの持ち味は、聴く人を元気にするトークが抜群に面白いということ。私は2019年に、この著者さんと全国5都市をめぐる「ツアー」なる講演会を企画し、2021年はオンラインでも開催。いずれも数百人を動員するイベントとなりました。

また、昨年のコロナ禍の始まりから、著者のオンラインサロンを企画運営しています。開設準備から毎日著者ご本人による投稿コメント管理や、毎月のイベントの運営。誰かにとっての居場所となる空間を盛り上げる楽しさを日々感じています。また、YouTubeチャンネルも開設に向け準備予定。

すべての本でそれができるわけではありませんが、信頼できる著者とのあらゆるコンテンツ展開で、著者が活躍できる舞台をいくつも用意して、誰かの背中を押したり、喜ばせたりすることができたらと思っています。

学生へのメッセージ

私たち出版社の編集者の使命は、「新しい才能」を発見し、その魅力を社会に広く知らせることです。

その仕事はいわば、プロデューサーであり、現場を仕切るディレクターであり、著者に寄り添い一番の理解者となるマネージャー。「この人の一番の魅力が輝くのはどの舞台だろう」という視点で、人に興味がある人、人の話をしっかり聞いて、わからないことをわかろうと努力できる人にとって、楽しい仕事だと思います。新しい時代感覚で、私たちが思いもよらない企画が生まれることを、いまから楽しみにしています。

サンマーク出版は、穏やかで人がいい人が多い会社です。私は2度の育児休暇を取らせていただきましたが、当時もいまも、周囲のバックアップに助けられています。

大きな仕事を楽しくやりたい。そんな若きパワーを待っています。

橋口英恵
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