サンマーク出版
VISION
サンマーク出版
VISION
私たちサンマーク出版は、今までに数多くのベストセラーを世に送り出してきました。
1995年の『脳内革命』(春山茂雄著/410万部)から、2017年の『モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット』(佐久間健一著/120万部)まで、単行本ミリオンセラーは直近25年間で8冊。また、日本を飛び出し海外を舞台に本を広げていくライツ事業にも注力し、世界的なベストセラーへと成長しているコンテンツも複数あります。
『生き方』(稲盛和夫著/中国で400万部)、『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵著/全世界で1200万部)など、海外での総発行部数は2500万部にも達しています。
直近では、『コーヒーが冷めないうちに』がロックダウン中のイタリアでベストセラーになったほか、オーディオブック版がアメリカのベストセラーランキング1位を獲得しました。
「世界中で読まれる本をつくろう」。私が社長として舵をとった2002年から、口ぐせのように言い続けてきたこの言葉は、数々の成功事例をともなって、それぞれの編集者にとって実現可能な目標になったと言えます。
業界全体が「下り坂」と言われ続けてきた時期に、社員約50名という小規模所帯のサンマーク出版が、なぜそのような成果を上げられたのか。その理由のひとつに、社員全体で「限界意識」を突破させることに取り組んできたことがあるで しょう。
毎年年始に、全社員がそれぞれの目標を発表しますが、そのなかに「今年はミリオンセラーを出します!」などと、一見大きすぎる目標に見えることも盛り込み発表します。「大ぼら」のように聞こえる大目標こそ、大事。物事を大きく考えることの効果は計り知れませんし、実際、「大ぼら吹き大会」から生まれたミリオンセラーもあります。
「出版不況だから、本が売れなくて当たり前」……そんな限界意識を、担当者はもちろん、組織全体でほぐしたいと思いますし、事実、業界全体では不況と言われる環境下で、さまざまな工夫により業績を伸ばしている出版社もあります。そして、世界中での日本のコンテンツへの評価は非常に高い。枠にとらわれず発想すれば、打つ手は無限にあるはずです。
「大ぼら」を妄想に終わらせずに、現実化できるかどうかは、担当者の「思い」にかかっています。「この本を絶対にヒットにしてみせる」という思いが、結果を生みます。
すべては「思い」から始まる。私たちは、それを「まずは『思う』ことから」というフレーズで、社内に浸透させています。
ヒットの芽は、それとわかる形で目の前に現れるとは限りません。私は常々「ヒットはけったいなものの中から生まれる」と言っています。
2016年に刊行した、『どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法』(Eiko著)も記憶に新しいところです。当初から「けったいな企画」として、社内でも話題となりました。
「開脚をしたい人がいるのか?」という社内の声もありましたが、担当者の純粋な興味と熱意、豊富な経験則で、企画が始動しました。
斬新な長いタイトル、本のゴールを一目で伝える表紙デザイン、そして実用書なのに小説仕立ての本文……。それは「けったいなもの」を超えた〝前代未聞〟の本に仕上がりました。
しかし発売後3カ月で50万部を突破。テレビの人気番組に取り上げられたことも手伝い、約半年で100万部に到達します。
このように「今までになかった新しいもの」「未知のもの」が、社会に広く熱狂的に迎えられることがあります。今まで眠っていた潜在的なニーズと合致したということなのでしょう。
通り一遍の常識をなぞるようなものではなく、「けったいなもの」にこそ、そのチャンスがある。無数の経験から、今ではそんな思いに至りました。
担当者本人が、その魅力に取りつかれたような企画であれば、誰かの心に響く可能性も高い。だから私たちは新奇な「けったいなもの」を大切にして、担当者自身の思いを企画に注ぎこんでいくことを、何よりも大事にしています。
サンマーク出版には、「サンマーク出版かるた」なるものがあります。
これは、本づくりや、日々の仕事にまつわる大事なことや折に触れ思い出したいことを、格言のかたちにしたもの。当初、私がお遊びのつもりでつくったフレーズがきっかけで、数が増え今にいたります。
たとえば、サンマークかるたの「へ」は「ヘンタイこそ創造の泉」。
出版やものづくりに携わる人に必要な素質、それはいい意味での〝ヘンタイ〟です。
ヘンタイとは、「細部にまでこだわるスピリット」と言い換えられるでしょう。
たとえば文章、写真、本のテーマ……。こだわりの対象は違えど、サンマーク出版にはさまざまなヘンタイがいます。もちろん、著者にも同じことが言えます。
圧倒的な〝ヘンタイ〟気質こそ、創造の源泉。ですから、ヘンタイ著者とヘンタイ編集者のコンビは、最強のコンテンツを生み出せるのです。
会社を〝生物多様性〟にあふれた組織に保つことこそ、次のヒットを生む秘訣だと思っています。これからも、徹底的に何かにこだわる〝ヘンタイ〟が集う場になれるよう、社員を見守り、育てていきたいと考えています。
サンマークかるた「て」は、「天地自然の理に学ぶ」です。
これは、多くの事例を学ぶうちにたどりついた言葉です。本のヒットや、事業の展開、はたまた国の行く末まで、すべては「天地自然の理」のもとに成立しているのではないか。――そんな思いを社員たちと共有するうちに、サンマーク出版の企業理念として掲げるようになりました。
「本来のあるべき姿を大事にして、なるべくまっすぐに、正直に、いろいろなことをやっていく」
「人を元気づけたり、癒したり、勇気づけたりするような、前向きな本をつくる」
この言葉には、そんな決意を込めていて、私たちは、嘘や偽りのある本や、人を傷つけるような本はつくらないようにしています。
また、出版業界には、「柳の下にはドジョウが何匹」とか「二番煎じ」などという言葉があり、ベストセラーの二番煎じどころか、三番煎じもたくさん。でも私たちは、それをしたくない。どうせなら(これもかるたの「や」にありますが)、「柳の下に金魚を放て」の精神で、いつも新しいおどろきに満ちたもの、本当の意味で、読む人のためになるもの、世の中に役立つものを創造して届けていきたい。そう思っているからです。