翻訳書編集部 編集長
世界を舞台に、売れる本を探しベストセラーに。国内外で「質の高いコンテンツ」を見つけヒットを量産する、サンマーク出版史上最年少編集長。
血液型:AB型
出身地:大阪府
好きな食べ物:チャーハン
好きな家事:家事はしません
動物に例えるなら:サバ
翻訳書編集部 編集長
世界を舞台に、売れる本を探しベストセラーに。国内外で「質の高いコンテンツ」を見つけヒットを量産する、サンマーク出版史上最年少編集長。
血液型:AB型
出身地:大阪府
好きな食べ物:チャーハン
好きな家事:家事はしません
動物に例えるなら:サバ
世界中には、数え切れないほどの良書が存在しています。
外国語で書かれたすばらしい本を日本に広げる――それが翻訳書編集部の仕事です。
翻訳書は、魅力的な外国の本を見つけるところから始まります。
外国のオンライン書店などで話題の本を探したり、海外のブックフェア(本の見本市)に参加して現地の出版社と情報交換したり、現地の書店をめぐって探したり、仲介の「エージェント」(代理店)に紹介してもらったり……。
まさに、世界中を舞台にした宝探し。世界最先端の知見を日本に広めるために、日々、海外のトレンドやトピックを追いながら情報収集しています。
翻訳書は、日本語に翻訳して出版する権利を、僕たち出版社が買うことが出発点。たとえば素晴らしい洋書に出会えても、日本の他の出版社が権利を押さえていたら、翻訳出版することはかないません。だから、誰もまだ見つけていない魅力的な本をいち早く見つけることが、翻訳書編集の最初の仕事です。
権利を取得したら、翻訳者を選び、原稿を整理して、日本人にとって魅力的な造本に仕上げていきます。原文を削除するときには原書権利者の了解を得る必要があり、「基本的に内容を変えない」という原則のもと、タイトルや見出し、装丁まで、日本人が買いたくなるパッケージに工夫を凝らすのが翻訳書の本づくりです。刊行後も、海外の著者がテレビに出てプロモーションする機会はほとんどないことを考えると、制約の中でいかに売れる本にしていくかという、編集者の腕が問われる、ごまかしのきかないジャンルです。
僕は、大学の外国語学部でドイツ語を専攻、第二外国語で英語を履修しました。教員免許も取得して、教職に就くつもりでいましたが、周囲につられて始めてみた就職活動で出会ったのがサンマーク出版でした。たまたま出身大学が同じ社員がいるのを見て、親近感を持ったのが、試験を受けたきっかけです。
コロナ以前、僕たちは毎年、ドイツやイギリスなど、海外で開催されるブックフェアに参加していました。世界中から集まる出版社やエージェントとのミーティングを重ねて、たくさんの出版社と長年にわたって信頼関係を築いてきました。
コミュニケーションは英語ですし、その場で紹介される原書をパラパラとめくって大まかな内容を把握する必要があるので、大学で学んだ語学が生かされていると言えます。でも、翻訳書において僕自身が手掛けているのは、英語ではない言語が多いのが事実です。
英語がオリジナルの本は、いわば「レッドオーシャン」。どこの出版社も検討するため、結果として契約金を高く積まないと権利を買えなかったりします。たとえば、『Sleep,Sleep,Sleep』はスウェーデン語からの翻訳書ですし、ドイツ語が原書のものも複数。韓国語やオランダ語もあります。英語にこだわることなく、世界中を広く見渡して魅力的な本を探しています。
僕は「スキルアップ制度」という会社の制度を利用して、アメリカのボストンに3か月間、語学留学しました。その間、基本的に仕事はしないと決め、英語の勉強に集中しました。
語学学校には、20代と思しき若い人たちが世界中から集まっていました。彼らの出身地はブラジル、サウジアラビア、韓国など、国際色豊かで、みんなアグレッシブ。文法の違いなど気にも留めず、どんどん話しかけてきます。僕自身、「恥ずかしい」とか「間違っていたらどうしよう」と思わなくなり、
英語力も度胸もついた気がします。朝から午後まで授業を受けて、放課後にはクラスメイトと遊びに出かけて街場の活きた英語に触れる日々でした。
英語力を高めることができたのはもちろんですが、語学学校の周辺にはハーバード大学やマサチューセッツ工科大学といった有名大学があり、また同じ東海岸のワシントンに足を伸ばしてNASAの研究者の方とつながることができたのも有益な経験でした。世界基準の一流の学者・研究者との出会いに、「世界中からすごい人を見つけて広めたい」という動機が強まったのはいうまでもありません。
海外の話をしましたが、僕はふだん、翻訳書のみをつくっているわけではなく、日本人著者の本も作っています。年間6冊手がけるなら、4冊が翻訳書で2冊が和書といったイメージです。
一番記憶に残っているのは、2017年に出版した『スタンフォード式 最高の睡眠』。この本は、僕自身の「毎日眠い、どうしたらいいか?」という問題意識から出発した本でした。病的な眠さではなくもっと身近な、「なんだかちょっと眠い」という悩みに対して、「睡眠時間を今と変えずに、睡眠の質を変えることでぐっすり眠れる」みたいな本がつくれないかな、と思ったのが企画の起点でした。
さて、誰に書いてもらうか。どうせなら、これまで本を出したことがないすごい人に当たってみよう。調べているうちに、スタンフォード大学で教鞭をとる日本人教授の存在を知ります。アタックしたら、本当にオーケーをもらい、結果としてこの本は33万部というヒットに。先生もメディアで引っ張りダコになりました。
世の中にまだ知られてはいないけれど、すごい研究者や、すごい経歴をもつ人はたくさんいるということ。そして、そういうすごい人にもきちんとアプローチすれば、本をつくることができることを体感した、記憶に残る本になりました。